福崎から感じる「民俗学・柳田國男」のルーツ

8月。暑い夏休みが始まっています。

そんな寝苦しい夜にひんやりとした気持ちになれる、それが「おばけ」の話ではないでしょうか。

おばけ、もののけ、ゆうれい、神、霊….。どれも、目に見えないもの。(見える方もいるかもしれません)

地域によっては伝説や伝承として各地に語り継がれているものかと思います。

「うらの畑には、水神さんがおるけん、裏でトイレしたらいけんよ」「川で悪さをしたら、河童に尻子玉を抜かれて死んでしまうよ」など、おじい様おばあ様、年長者から教えられた経験がある方もいるのではないでしょうか。

今回は、そんな目に見えない彼らの話を単なるうわさ話とせず、聞き取り調査をし、学問として体系化し、

「民俗学」へ高めた人物の生家を訪ねてみました。その場所が、兵庫県福崎です。

福崎は、兵庫県の真ん中に位置し、中国道と播但連絡道路が交差している山間の地。「銀の馬車道」を北上すると、市川町・神河町を経由し、生野銀山へも行くことができます。

この地、今では地域の方の町おこし提案から「妖怪の町」としてPRされています。


脱線:妖怪で町おこしをしている地域

福崎(兵庫)民俗学の父柳田國男が故郷を振り返り執筆した書籍に「河童のガジロ」の存在。

三次(広島)…江戸時代実在した稲生平太郎少年に様々なもののけが。「稲生物怪録」の舞台が三次だった

境港(鳥取)…水木しげるの関係。ゲゲゲの鬼太郎

松江(島根)…小泉八雲が松江に滞在。妻から聞いた幽霊の話に興味をもち、幽霊にまつわるお話を執筆


いつものようにマインドマップで整理整頓してみました。

生家~福崎での柳田國男

柳田國男は、松岡家の6男でした。父操は儒学者で、兄弟みなエリート。一番上の兄は医者をしていました。

柳田という苗字は、成人してから養子に入っていただいたものなので、元は松岡國男でした。

生家は伝統的な日本家屋。7名が住んでおり、小さい家だったと柳田氏も話しています。

松岡家はもともとこの福崎に先祖代々住んでいましたが、柳田10歳の時に売っています。

柳田の「民俗学」に通ずる様々な体験は、ここ福崎で過ごした10年のものだったといわれています。

裏に鈴ヶ森神社があり、大きな神社とは言えませんが、独特な雰囲気のある神社です。

敷地内に万葉集の歌碑があるのが気になってしまいます

兄弟も民俗学学者だった!

柳田の兄井上通泰は、柳田と同じく「民俗学」に関わったとされています。

その研究内容は、貴重な「播磨国風土記」の地名研究。地元 福崎もその地域にあったことから、

地元の方の話を大事に聞きながら、地誌も研究。風土記と福崎の地名を解明することに成功します。

当時、国に保管されていた「播磨国風土記」写本。

だれでも閲覧できるわけでなかったので、人脈を生かし、

コツコツ写本してもらったのを研究に使っていたそう。5年かかったとのことです。

調査のため全国各地を飛び回っていた柳田とちがって、兄井上は旅が嫌いだったことから、「播磨国出身の人」から話を聞くといった形式だったようです。

具体的な地名について(福崎町)

地域の方が発行されている媒体にも、アクセス情報が丁寧に記載されていました。

神前山(かみさきやま)

奈具佐山(なぐさやま)

八千軍野(やちぐさの)

砥川山(とかわやま)


風土記(ふどき)とは?

歴史の授業で聞いたことのある名前ではないでしょうか?

奈良時代、これまで口伝の歴史を書物にする取り組みがありました。その一つが風土記。各地の国司に命じてまとめさせました。

地名や産物、地域にのこる伝承も記録されたので、

国が作った古事記や日本書紀に比べると、奈良時代以前の地元民の生の声を拾った資料である可能性は高いと思われます。

残念ながら、ほぼ完本であるのは出雲国のみ。播磨は一部欠損で残っていました。


民俗学とは?

「歴史」というジャンルであることは変わりませんが、特定の人物や事柄に関わる記載を探し、手がかりから考察していく歴史学とは違うものと考えて良いと思います。

もとは、欧米での「フォークロワースタディー」が先行して学問として確立していて、柳田や折口らが民俗学として体系化したのは1930年代半ばとされています。

柳田は、大学卒業後、官僚となります。その中で、新渡戸稲造と共に村落研究の勉強会を開くなど、

徐々に「趣味としての研究」から「学問としての研究」へ発展しています。

折口信夫との出会いは1915年。大阪出身の折口とは、マレビト論などで争ったといわれています。

マレビト…狭義では、ほかの世界から探訪してきた神霊を指す。現代での事例としては、お盆には先祖の霊が戻ってくるので、仏壇などにお供えをしたり、精霊船などを作る文化についてなどがあげられます。

目に見えない、今現在生きていない方々の「里帰り」を支援するナスやキュウリの乗り物のカタチなども地域によって差があり、地域の実情とあわせて比較検証する研究もあります。古来からあるそういった「神霊を大事にする文化」は、よそ者を歓待する「おもてなし」に通じるものだとしています。

現在、大学での学びの場での民俗学

拙者も体験した民俗学。実際に地元の方へヒアリングしたり、お話をまとめたりして、その地域の文化を、歴史書一択でなく「土地」「風土」「宗教」など多面的にとらえることが可能なのが民俗学です。

現代の研究には、「日本人の心の奥底にある古来からの意識がさまざまな作品に表れている」という仮説をたて、映画「ゴジラ」の設定について研究される先生もいらっしゃいました。

例:ゴジラの登場シーン、第一話などで、山影からにゅっと顔を出す演出もそう。

日本人は「山」に恐れを抱きます。そんな神聖な山から、まるで神の化身のように出現するというテーマ設定は、民俗学を極められた先生は はっ! とされたそうです。

一作目は核開発に対する反発のために作られた作品と言われています。なので、地中に眠っている太古の怪獣ゴジラを起こしてしまった!という設定。モスラがでてきてモスラの妖精が出てくるところあたりにも民俗学を感じるそう😂 ちなみに三作目以降は単なる怪獣映画になってしまったと嘆かれていました笑


福崎を満喫、観光情報

紙媒体紹介

民俗学に関して、柳田國男について詳細を知りたい方にはもう少し情報が欲しい!といった感想があります。

辻川観光交流センターにいくと、様々な書籍の該当ページが見やすく配置されているので、まず寄り道してからどのように回るかを考えるのをおススメします!

(当サイトでは調べたものを補足)

柳田國男生家・もち麦のやかた

共通の無料駐車場があります。

河童伝説「ガジロ」をイメージした河童が池から出てくる演出も

毎時0分、5分、20分など、決められた時間に池から河童が!

もち麦といえば…

お米に混ぜて炊くとよりおいしくいただけると話題の食材ですね!

辻川観光交流センター

休憩スペースや、観光にあったら便利なマップが多数配置されています。

カフェがあり、かっぱんケーキ笑 や、海鮮丼もいただけるそうです!

妖怪にちなんだまちおこしとして…

妖怪ベンチは様々なところにあります。

車でめぐるには、「駐車場の確認」が必須です。

車を止めやすく回りやすいと感じた5か所。

まだまだあるようなので、また探訪する際の楽しみにとっておきます…。

kanikama

中学生のころからハマった歴史。特に当時いちばん近くにあったのが「広島城」。原子爆弾の凄まじい爆風を耐え抜いた石垣に惚れ込み、「最強の野面積み」を眺めることから城へ興味を抱くきっかけとなり、大学でも歴史を専攻。文書から見える歴史だけでなく、フィールドワークで得た体感を大事にしながら「よりリアルで背景とリンクした考察」めざして今にいたる。

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